カテゴリー「ファッション・アクセサリ」の記事

2021.08.29

『B面の歌を聞け』vol.1「服の自給を考える」

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 友人の作家・太田明日香さんが主宰する「夜学舎」から、手作り雑誌『B面の歌を聞け』が創刊された。

 ここで語られる「B面」というのは、資本主義とかメインカルチャーが主軸で動いている世界を「A面」だと捉えたときに考え得る、オルタナティブな世界のありようのことだ。モノの交換だったり、できる範囲でDIY精神を発揮していったり、お金をかけなくてもいい部分をそれぞれのローカルの場から探求・実践していく姿勢を、このささやかな雑誌は問いかけようとしている。

 初回のテーマは「服の自給を考える」ということで、ハンドメイドのシャツの制作者へのインタビューや、ただ消費される対象としてでなく、服との多様なつきあいかたを提案する記事などが楽しめた。とくに、よれよれになって着れなくなった服を、型紙から起こして別の素材で縫製して“コピー”するという発想は自分にとって新鮮だったし、あと自分に技術がなく、身近なところで縫製を頼めないような場合に有用な「縫製職人マッチングアプリ」があるというのも、面白い試みである。

 読みながら感じたことは、衣食住のなかで「衣」の部分はもっとも「B面仕様」にしやすい領域ではないかということだ。たとえば「子どもが暮らしやすい家を建てる」というのはありえるが「子ども専用の家を建てる」ということは難しいわけで、そう思うと衣服というのは年齢とか目的とかの一般的な側面での「個性」に応じて、それぞれにカスタマイズが求められ、さらに嗜好やオシャレさを追求する楽しさの幅もふんだんに備わっているわけで、この領域を企業の利潤追求作業にまかせっきりにするのは確かにもったいない。

 ただし、もちろんすべてをイチから自作する必要もなく、雑誌のなかでも「不要品からパーツを流用し、ここぞの部分だけをハンドメイドとして成立させていく」というスタンスが紹介されていたりするように、「いいとこ取り」で、手作りと既製品のハイブリッドを楽しんでいくことも可能である。
 そういえばちょっと前に『ゼロからトースターを作ってみた結果』(トーマス・トウェイツ、新潮文庫)を読んで、あらためて「ものを作ること」について考えさせられたが(この本、ある意味では名著だと思う)、すべてを自分で作り上げる必要はなく、技術がゼロであろうとも、出来る限り自分で考えたり学んだりしたうえで、どうしてもムリな部分は専門家や既製品に任せることだって、そのスタンスにおいてはDIY精神であり、そうした「A面とB面を行き来するバランス感」が大切なのだろうと思う。

 次号の予定は「コロナ以後におけるお酒とのつきあい方」とのことで、「夜学舎」については(こちら)へ!

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2021.03.28

ちょっと昔のロンドン・バスの「あの部分」を再利用したバッグ・小物類をハンドメイドする京都の「SANS-SERIF」に出会ってテンション上がった日のこと

すごくひさしぶりに京都市役所前のゼスト御池を通りがかった。
そのまま地下鉄に乗ろうと思ったわけである。

イベントスペースでは、クラフト・雑貨を扱うお店のブースが立ち並んでいて、そこを通りすがりにたまたま目に入ったものがあり、思わず足が止まった。

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このロンドン・バスの写真のタペストリーを見た瞬間、そこにある品物が何を意味するかが「!!」とパッと分かるようになっていた仕組みも、さすがだと思う。

やーーーー、これはねぇ、もう、絶対、足が止まるでしょう、ロンドン大好き人間にとっては。

つまりこういうことである。

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あの古いバージョンのロンドンバスの、行き先案内表示に使われていた部分を再利用して、バッグなどを作っているわけである!

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つまりはFREITAGのようなコンセプトで、産業分野で使われた素材をリユースした一点物ばかりであり、どれも欲しくなる(笑)

京都を拠点に活動している「SANS-SERIF」、その代表でデザイナーの藤川和也さんという方がブースにおられたので、しばしの時間、お話をうかがえた。

あのレトロな行き先表示の部分は単純に紙類のように思っていたのだが、実際には古くはリネン生地だったり、その後はタイベックというポリエチレン系の素材だったりして、とても軽くて丈夫なのだった。現地でコレクターが収集しつつも、多くは破棄されるようで、それらの素材を仕入れてカッティングや組み合わせをデザインし、京都の鞄職人さんが帆布で縫い合わせていく。おそらく知る限り世界で他にやっているところはない、とのこと。

ロンドンの公共交通全般におよぶ独特の書体は、エドワード・ジョンストンがデザインしたフォントが100年前から使われていて、この行き先標示の文字の印刷はシルクスクリーンで行っているとのこと。よーく見ると、ところどころに線の微妙なうねりがあったりして、それも味わい深い。

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そして、ロンドン以外の地域だと、黒白だけでなく緑や青色が標示に使われることもあるようで、上の緑色のものはポーツマスで走るバスのものだとか。

こうなると、思い入れのある場所の地名が入っている商品を探してしまいたくなる。土地の記憶と結びつく一点物のプロダクト、ひたすら素敵である。

あらためて同社のHPは(こちら)へ!

あぁ、ロンドン行きたい・・・(笑)

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ちなみに。

このSANS-SERIFさんのブースを後にした直後に気づいたのだが、よくよく考えると、私がこのゼスト御池を通過して地下鉄に乗ろうとした経緯もシンクロニシティ的にすごいものがあった。

そもそも、三条駅付近でお昼ご飯を食べようと思ったが、目当ての店が混雑していたので京都市役所の近所まで移動してご飯を食べた。本当はここまで来る予定は当初はなく、そしてこのあとの用事は、地下鉄でいえば一駅先の烏丸御池駅周辺が目的地なので、本当は歩いてもよかったのだが、このときはたまたま地下鉄に頼ろうと思い、ゼスト御池の地下街に降りたのである。

そこで上記のSANS-SERIFさんに出くわして感動したわけだが、その後わたしが地下鉄に乗ったあとにやろうとしていた用事というのが、これがよりによって「コピー屋さん(京都カンプリ烏丸店)に行って、ロンドン中心部の鉄道路線図の大判プリントを行う」というものだった(笑)。

どういうことかというと・・・

実は私は家のトイレに、ロンドン地下鉄や近郊の鉄道がすべて網羅された案内地図の現物を壁に貼っていて、あたかも鉄道マニアのごとく日々これらの駅名を眺めて暮らしているのである。また最近は、英語の発音を家で練習するきっかけとして、それらの駅名を(現地の車内放送ばりに)いかに発声するかの練習を繰り返しているのである。そうなると、細かい文字で書かれた駅名が読みにくいため、いっそのこと最新版の路線図をPDFでダウンロードし、パソコンの画像ソフトで加工し、壁のスペースいっぱいまで貼り付けられるように拡大したものを自作しようと思い立ったのである。

そのファイルが完成したので、それをコピー屋さんに持っていって大判のA1サイズに印刷してもらおう・・・と思って、そのためだけに出かけたのである。それがこうして、ひょんなことからロンドン交通局のあの伝統的な書体をモチーフにしたバッグを扱うデザイナーさんと出会い、話をさせてもらったわけで(ひとまずこの日はキーホルダーとマスクホルダーを購入させてもらいました)。

興奮冷めやらぬ感じで地下鉄に乗って、そこであらためて「あ、今から自分、あの書体がたくさん書かれたロンドンの路線図を印刷するんだった」と気づいた次第(笑)。いやはや、こういう日もあるもんで・・・

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▲こうして大判の路線図が手に入り、トイレの壁面へ(笑)。これでどの駅名もしっかり読めるようになった!

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2019.08.28

服屋で店員に話しかけられないようにするためのジェスチャーがほしい

世界的にファッション業界で用いられるその時々の流行色は、インターカラーという「国際流行色委員会」でおよそ2年ぐらいの時間をかけて話し合った末に決められているそうだ。
そうやってファッション業界に影響を及ぼす仕組みが国際的レベルで整っているのであれば、流行色を決めるだけでなく、「服屋の店員に話しかけられないようにするジェスチャー」もついでに決めて、周知してもらえないだろうかと私はずっと切望している。

気持ちは分かるのだ。服屋の店員も、仕事をしている姿を上司や同僚に見せないといけない。
何も買うつもりがないくせにうっかり服屋に入ってしまった私のような客にたいしても近寄っていかないといけない。そうして、面倒であったとしても「そのファーつきのカットソーは最近流行りのカタチで」とかなんとか言わないといけないのだ。これがもし「カットインからのファー」だったら、「あぁサッカーで中央に切れ込むドリブルを仕掛けてから、遠くの位置にセンタリングを上げたいのね」と私でも理解できるのだろうが、この現場においてはファーのこともカットソーのこともよく分からないので、「頼むから僕に話しかけないでください」の微笑みを浮かべるしかないわけだ。

また、店員から「気になる服があれば、広げて見てみてくださいねー」と笑顔で言われても、私のような客はその言葉をどうしても真に受け止めることはできない。その言外には「たたむの面倒だから、買うつもりのない服は手に取るんじゃねぇよ」というメッセージが込められているに違いないと考えてしまうのだ。

さらに「サイズをおっしゃってくださったら用意しますので、気軽に言ってくださいね」という切り口で話しかけてくるパターンもある。これはまだ気が楽になる声かけかもしれないが、いざ試着しようとすると、頼んでもいない他の服を持ってこようとしたりするのでやっかいだ。ベルトを手に取っただけなのに、店員がすかさずズボンとパンツと靴下を持ってくるかのような勢いだ。

もちろん、店員が客に声をかけるのは「お前の侵入をこっちは把握しているからな」のメッセージを伝える意味で防犯上においても重要だ。それも分かる。なのでサッカーに例えるならばゴール前の守備のごとく規律のとれた堅い守りにたいして、私のような客は「マークに付かれる前にこっちから離れる」という、素早い動きだしが求められるわけだ。「店員が近づくまでにどれだけの服にタッチできるか競争」をやっているかのように。なので、客がいなくて、置いてある服の分量が極端に少なくて、店員が立ち尽くしているような服屋なんて到底立ち入ることはできない。

そういうわけで、「誰にも話しかけられたくない」という意志を服屋の店員に伝えるジェスチャーが存在すれば、お互いにとってウィン=ウィンになれるはずなのだ。店員はムダに客に話しかけなくて済むし、客はそれでいろんな服屋に入りやすくなるし、ファーつきカットソーだって気軽に買えるかもしれない。

ジェスチャーというと大げさかもしれないが、指で鼻の下を押さえるとか、左手で右の耳たぶをつまむとか、ヒジの関節をアゴにつけて歩くとか、そういう程度でいいのだ。そうしたしぐさで店に入ってきた客には、店員は声かけを控えるという国際的ルールみたいなものが発動してほしい。

でも現状では、どんな動作をしても店員は近寄って話しかけてくるのである。まいったもんである。

p.s.そのほかに実践的な解決策として考えたのは「日本語が分からない外国人のふりをする」というアイデアだが、こんな時代においてはメンバーズカードをうっかり作らされたりすると、すべてがパーになるのであった。

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2018.07.17

バスケ、バレー、サッカーのボール生地を使ったアパレルブランド「FUKUNARY」が超絶ステキな件

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スポーツ用品とアパレルのコラボレーションということで、最近知ってテンションが高まった事例。
広島にある八橋装院という会社では、特にバレーボールやバスケットボールで有名なMikasaの、あのボールに使う素材をそのまま転用して様々なグッズをデザインして「FUKUNARY」というブランドのもとでリリースしている(リンクはこちら)

ちょっと前の話になるのだが、たまたま梅田の百貨店ルクアにいたら、このFUKUNARYが期間限定で出店していた現場に遭遇し、

「ん・・? こ、これはーっ!?」となった。

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バレーボール、バスケットボール、そしてサッカー。これらのボールにはそれぞれの特性があるわけだが、その風合いや質感を生かして、オシャレかつ耐久性の高い製品たちがセンスよく作られていて、これはもう、やったもん勝ちである。私はその売場のスタッフさんたちに「すげー!!」と連呼してしまい、いろいろお話を聞かせてもらい、しまいには店員さんが実際に使っているお財布の使用状態までもを調子に乗って写真に撮らせてもらったぐらいだ。(結局そのときは何も買わなかったのですいません 笑)
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↑これ、表面はバスケットボールのあの質感でありつつ、中身の仕分け部分もすごく良く出来ていて、あえて写真は載せませんが(笑)、すごく使いやすそうだった。

そして当然、「使用済みボールから、記念品のようにグッズを作ることもできる」とのことで、それだったら普通にプロ選手の使用済みボールからグッズ展開してもいいわけで、マニアとはこういうのを買う人種なのだから、やったもん勝ちなのであると進言させてもらった。

「サッカーボールのキーケースとかネイマールとかに贈って使ってもらって、ネットにあげてくれたら一発でしょう~」とか勝手なことばかり言う私。

聞けば広島の工場も見学できるかもしれないので、これで広島へ旅したくなる理由がまたひとつ増えた(大雨の状況はどうだったのか気になるけれども)。

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2016.05.30

シャムキャッツ“EASY TOUR”@京都にむけて、トートバッグも用意してみました

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ついに今週6/2(木)京都・磔磔にてシャムキャッツpresents"EASY"ツアーですってば!! 

前回のEASYでTシャツとして披露した「すきなバンドをおしえてよ」のモチーフを、グレー色のトートバッグにプリントしてみたのです。

今回仕入れたトートバッグは底のマチが広くて、普通にバッグとしてもたくさん入る仕様になっております。

ちなみに裏面に文字をプリント。

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このカバンを持ち歩いて、いろんな人から好きなバンドを教えてもらうがいい!

海外旅行のときだって言葉がわからなくても裏面の文字部分を見せたら、外人さんからもいろいろ音楽について語ってもらえるかもしれないという便利グッズ!!

なにとぞ、よろしくおねがいします。

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2014.01.12

シサム工房でみつけた「とんがりルームシューズ」にグッときた

この冬、暖かそうなルームシューズをぼんやりと探し続けていて、シサム工房で見つけたのがこれ。

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トンガってます。いったいなぜ、どうして、こういう形になったんだ、とツッコミたい。
お店では、これがひとつだけ「大きめサイズ」として置いてあって、色合いも好みだったので、即購入を決断。
いろんなカラーリングのものが売られていた。ネパールの手編みのフェアトレード商品。

冬用のルームシューズって、シーズンオフになったら収納場所に少し気をつかうのだが、これだと折りたたむこともできるので、多少のムリがきくところもポイントだ。「なるほど、この手があったか!」と唸る。

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このように、破れやすいカカト部分だけが補強されているのだ。

しかも今はセール期間中で、3割引で買えたからラッキーである。
(フェアトレード商品をセールで買うことにはちょっと申し訳ない気分もあるが)

で、

シサムの店員さんからは、

「わたしも履いてます!」
「小人の気分が味わえますよ!」

と言われた。
確かに、西洋の小人のイメージを思い浮かべると、なぜかつま先がとんがっているんだよな。

それにしても、人生において「小人の気分が味わえますよ」といって何らかの商品を薦められることって、そうそうないと思う!


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2013.01.09

「ワルシャワ・ドロップ&ロマンティック」のバンドTシャツ、よければ買ってやってください

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          ▲ ワルシャワTシャツ着用例


ワルシャワ・ドロップ&ロマンティックのバンドTシャツについて、この冬休みにいくつか増し刷りでシルクスクリーン印刷を行い、ちょっとだけ増やしました。
バンドメンバーへの供給が一段落したので、この在庫を頒布させていただこうと思います。
買っていただける場合は、個人的にお問い合わせをいただければと思います。
頒価は1000円とさせていただきます。

ちなみに、表のプリントとは別に、両袖にもプリントを施してありまして、

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謎のおじさんの顔と、

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バンド名のテキストが小さくプリントされております。

言うまでもなく、素人でシルクスクリーン印刷をしているので、変なカスレとか、折シワのところだけ色が欠けていたり、とにかく「手作り感満載」であることをご了承ください。つまりそんなに綺麗な商品ではないということであります。

在庫ですが、それぞれの色で一種類しかサイズがなかったりするのがほとんどです(手作り印刷だからね)。
基本的に、「Lサイズ、Mサイズ」(男性向け)と、「ガールズMサイズ、ガールズSサイズ」(女性向け)の4サイズです。

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<番号2> Lサイズ ナイトブルー

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<番号5> Mサイズ インディゴ

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<番号9> ガールズS シティグリーン

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<番号15> ガールズM トロピカルピンク

No16r0059129
<番号16> ガールズS アイビーグリーン

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<番号19> Mサイズ ピンク

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<番号22> Lサイズ ライトブルー

以上です。
おそらく問い合わせがあるとしたら、身の回りの方々からだと思うので、ひとまず「在庫まだある?」って連絡をいただけるとありがたいです。

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2011.12.12

サッカーファンとして、市民マラソンの応援を楽しむ


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第2回「奈良マラソン」が行われた。いつもお世話になっているデルニエの店長さんが出場するというので、市民マラソンをはじめて観に行ってみようと思った。
そしてちょうど毎年この時期にM・フィオリオ氏とは地元の蕎麦屋で年越しそばをいただいて、ひたすらしゃべりまくるのが恒例行事になっているというのもあり、フィオリオ氏にも来てもらって沿道でマラソンランナーに声援を送ることとなった。

そこで私は、衝撃的な事実を目の当たりにしたのである。

私はいままで、こうした市民マラソンについて、認識を欠いていた部分があったのだ。
市民マラソンの参加者のなかには、ユニークな仮装やコスプレをして走る人がいる。それはよく分かる。
で、その他に「普通の格好をして走る人々」というのは、総じて「ランニングウェア」を普通に着こなしている人が「ほとんど」であると思っていた。

ところが、そうではなかった。

かなりの割合で、サッカーユニフォームを着て走る人が多いのである。

このことに、私はいたく驚いた。
そして思った。「サッカーファンとして、サッカーファンを応援しよう」と。

特に、海外サッカーのユニフォームよりも、意外なほどに、おそらくその人自身がサポートしているであろうJリーグクラブのユニフォームの着用者が多かったのである。

Jリーグの理念からいえば、「あらゆるスポーツの振興のために、できることをやっていく」というのがあるわけなので、フィオリオ氏の協力も仰ぎ、サッカーユニフォームを着て走る人には、普段のサッカーの応援と同じように「チーム名をコールする」という応援スタイルを実施することとなった。

で、フルマラソンコースの残り5kmあたりの地点にいた我々は、終盤の苦しい時間帯を走っているランナーのなかで、ひたすらサッカーユニフォーム姿のランナーに注目しつづけた。

かなり前のほうのグループで、いきなりサンフレッチェ広島のユニフォームを着たランナーがいて、サンフレッチェのファンであるフィオリオ氏も驚いていた。
私はカメラを写しながら「サーンフレッチェ!! サーンフレッチェ!」とコールし、フィオリオ氏が手拍子であおってくれた。

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手をあげて反応してくれた! うれしい。

サッカーのサポーターは、日頃は自分たちがスタジアムで選手に向かってチーム名をコールしている。
それが、こうした市民マラソンの現場において、「自分が逆にコールされる側」になるのである。

これはおもしろい、と思った。

なので、どんどんコールをしていった。
決して恥ずかしがってはいけない。彼らのがんばりに感化され、私も真剣にチーム名をコールした。

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ウラーワ・レッズ! 背番号は24、原口だった。たしかに足速そう。

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よ、横浜FCが来たー! と驚いた。本人もすごく反応してくれて、いっしょに手拍子をしながら走っていった。

でもその直後に、さらに驚いたのは
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松本山雅!!JFLです。ちょうどこの日に大事な試合を闘っていたはず。来シーズンからJ2に参入が決定してよかったよかった、と。松田直樹のことも含めて、もうテンションあがりまくってしまう。

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ジュビロ磐田-!

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で、海外ナショナルチームとか海外クラブチームのユニフォームの人々は、あえてあまりコールをしなかったのだが、この人は全身バイエルン・ミュンヘンの格好をだったので「バイエルンがんばれー!」と声をかけたらとても良いリアクションをしてくれた。背番号は14で宇佐美ファンだった(走り去るまで、背番号が確認できないので、選手名で声をかけるのは難しいのである)。

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あと、ナショナルチームだとアルゼンチンやイタリア、ブラジルや日本代表がほとんどだったのであるが、そんな中アイルランド代表ユニフォームの人がいたので、そんな熱いサッカーファンにはつい声をはりあげてしまう(笑)。よくみたらシューズもユニフォームの色にあわせていて、さすが。

そして、意外なほどに関西のJリーグクラブのユニフォームがいないなぁ、と思っていたのだが、時間がたつにつれて徐々にその数が増えていった。

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セレッソおーさかぁー! このほかにも清武13番ユニが何人かいました。

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ガンバおーさかー!・・って、コールしにくい名前だとはじめて気づく。「ガンバ・オレー!」のほうがよかったんだっけ? と迷いつつ。そしてこのご本人も控えめなリアクションで走り去っていく。

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ガンバでは、退任する監督の名前入りのこんなユニフォームを着たかなりコアな方も。

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このガンバサポーターのおじさん、すごくリアクションが良くて一緒に手拍子をして走っていった。で、背中をみたら「8 佐々木」ってかなり渋いセレクトなので、ぜったいこの人本気のファンだと思った。

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本気度でいえばこのおじさん、ヴィッセル神戸のユニフォーム、しかも全身イエローで「ゴールキーパー・バージョン」のユニフォームなんですな。走ってくるランナーのなかで、「どこのユニフォームか?」を一瞬で判断しないといけない局面で、よくぞヴィッセル神戸だと判別できたな自分、と思った。自分もかなり本気で観ていたわけである。

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そして、「なぜか京都サンガがいないな・・・」という思いが募っていたのだが、その不安をよそに、後半あたりで数名ががんばって走っていましたよ! キョ~トサンガァー!ドドンドドンドン。

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祝・J2優勝のFC東京サポーターも参戦。しっかりと我々のコールに反応してくれて嬉しい。

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こちらも祝・J1優勝、そしていままさにクラブW杯を闘う柏レイソル。体がきつそうで、歩いていたのだが「かしーわ・レイソル!」とコールをしていたら、「もう走れません~!」と応えてくれた。本来ならここで何かコトバを返したかったが、そのときは良いセリフが思いつかなかった。今ならさしずめ「リーグ終盤戦の追い上げを思い出せよ!」とか「今夜も大事な試合があるんだからがんばれ!」とか言ったらよかったと思う。でもいずれにせよ、沿道からコールをすることによって、見ず知らずのランナーが「もう走れない」という重要なインフォメーションを我々に伝えてくれるわけで、サッカーユニフォーム着用ランナーの人々は、我々のコールによって「仲間意識」を抱いてくれるのである。

私としても、普段はやらない「チーム名のコール」を、しかも公共空間で大声で、しかもいろんなチーム名で叫べるというのが、楽しくて仕方なかった。
なので、結果的に我々は沿道に4時間ちかく立ち続け、つぎつぎと通り過ぎていくランナーに「がんばろー」とか「あともう少し-」とか声をかけつつ、サッカーユニフォーム姿をくまなくチェックしては、チーム名を叫んで健闘を称え続けたわけだ。

そして、サッカーユニフォームを探し続けながらも、デルニエの店長さんの到着もひたすら待ち続けていて、でもそろそろレース開始6時間が近づいてきていて、果たして時間内に初マラソンを完走できるのかどうか・・・? と思っていたら

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すげーー!! 完走しているー!! 
と、この日一番の感動を覚えた次第である(記録は5時間31分!すごい!!)。

店長さんの力走を見届けた後、たまたま南にちょっと移動したら、奈良教育大学前の道路で6時間のリミットでカウントダウンが始まり、道が一気に封鎖されて、たどり着けなかったランナーたちがバスに収容される場面にも立ち会って、ドラマをみる思いであった。

というわけで奈良マラソン、とっても充実した時間を過ごした。
そして最近ほかの都市でも実施されている市民マラソンでもサッカーユニフォームのランナーを応援しまくるのは楽しいのではないかという気持ちになってきつつある。

うっかり、新しい「サッカー的楽しみ」を見つけた気がする。

<追記>その後も市民マラソン大会でサッカーユニフォームのランナーさんを応援する企画を実施しております。別ブログ「FOOTBALL ACTIVIST」の記事カテゴリー「サッカー的生活」の記事一覧もごらんいただければ幸いです(こちら

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2011.12.07

Windows Media Playerでトランス気分(いまさら)

あまりにもありふれたものとして、もはや気にもとめなくなって、でも改めて考えてみたらものすごいと思えるモノ。

最近、私にとってそれは、ウインドウズのOSに標準でついてくるソフト、Windows Media Playerだ。

適当に、音楽ファイルを再生すると、

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このように音楽が再生されるわけで。

「いまさら、それがどうした」
と思われるかもしれないが、

私が言いたいのは、このときに画面に表示される、グラフィックだ。

トランスなこのビジュアル効果、よくみたら、見飽きない。
いろいろ設定でいじることもできるのだが、果たしてあなたはこれを真剣にいじってみたことがあるだろうか。

もういちど書く。あのトランスなビジュアル、じーっと注目して観て欲しい。
よくよく考えたらこれってうまく出来ていると思う。
音楽のリズムやタイミングにあわせて画面にも少し変化が出たりもする。それもすごい。

ともかくだ、「あらためてこのビジュアル効果に注目してWindows Media Playerを使う」というのが、いま多くの人にオススメしたいモノゴトである。
今さら感は否めないが、少なくとも私にとっては「こんな身近に、こんなに見飽きない対象物があるなんて」と、目からウロコな気分でいる。

━―━―━

来年はいよいよサッカーの欧州選手権“ユーロ2012”が開催される。
ご存じの通り今回はウクライナとポーランドの共催で、本大会組み合わせ抽選も先日行われた。で、このサッカー的にはさほど目立たない開催国2つがシード権のポット1グループを占めてしまったがために、そのとばっちりでとんでもないグループができたりして、グループBのオランダとドイツとポルトガルとデンマーク、とか。このうち2カ国が脱落しますんで、端から見ているぶんには楽しい。グループCのスペイン・イタリア・アイルランド・クロアチアっていうのも個人的にグッとくる。特にアイルランド代表はマジで2002年日韓W杯以来ぐらいの表舞台ではないだろうか。そして主要メンバーがほとんどあの当時のままという泣ける編成。なので今回はイングランドよりも推したい気分。

そんなこんなで、開催国ポーランド代表の2012年に向けた新作ユニフォームがお披露目されていて、その写真を見つけたのだが、

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で、決して悪いデザインじゃないのだけど、
なんといえばいいのか、
芸能人のスポーツ大会特番みたいな雰囲気を感じてしまうのはなぜなんだろう、と。

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2011.11.21

フェールラーベンのコートにワックスを塗る

もう6年ほど前になるのだろうか、アウトドア用品の「フェールラーベン」で、思い切ってコートを買ったのである。
小さく入ったスウェーデン国旗のタグがオシャレに思ったのと、独特の首回りのデザインが気に入った。
そうして自分ははじめて「アウトドアのコート」を体験したのだ。

で、このコートが自分にとっての「コート観」を変えてくれた。
たぶんアウトドア用品のコートってどれも似たようなものなのかもしれないが、とにかくコートを着ることで、「体を温かくする」というのではなく、「寒くならないようにする」という方向性を持っているコートがこの世にある、というのは驚きだったのである。
この違いは似ているようで異なる。
着ることで「温かくする」というのは、「ひたすらプラス」の発想で、
着ることで「寒くならないようにする」というのは、「プラスマイナス、ゼロ」に保つことを意味する。

したがって、このフェールラーベンのコートは、着始めて外に出ると、最初は寒く感じるのである。
しかし徐々に体を動かして、歩いたり自転車をこいだりしていると、ずっと「一定の快適さ」が保たれるのである。
寒すぎず、熱すぎず。
蒸れないように、うまくできている。

というわけで、私は冬の間、ほぼ毎日このコートばかり着てしまう。
機能性の良さで、手放せないのである。
さらに、私の買ったコートのシリーズは、「G1000」という独特の素材によるもので、このG1000は防水性や防風性にすぐれており、おそらく私の感じている快適さにも関与しているのかもしれない。
雨の多い冬のシアトルも、そして数十年ぶりの大寒波と大雪におそわれたときのロンドンも、このコートで乗り切ってきた。

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そしてなぜかこのコートは、背中に大きなポケットがあって、なぜこんなヘンなところにポケットが・・・と思ったが、これは言うなれば、サイクルウェアと同じ構造になることに気づいた。
つまり、「冬に街中を自転車で走る人のためにデザインされた」というコートでもあるのだ。これは自分なりに出した結論ではあるが、そうじゃないと背中にポケットなんてつかないと思う(あるいは山登りのときに使い道があるのだろうか。そこはよくわからない)。そして実際、このコートは自転車に乗るときにちょうどいい着丈であり、首回りも風の侵入を受けないようにできていて、本当にどこまでも利用価値が高い。

で、このG1000の素材の性能をキープするために、別売りの「ワックス」が存在する。

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この服を着続けて6年目にして、ようやく私はこのワックスを買ってみようと思ったのである。
そうでなくても、これまでもずっと防水性能は保たれていたので、あまり必要性を感じていなかったのである。

で、ひさしぶりにフェールラーベンのショップにいき、ワックスを手に取って、そのままレジにいった。
そして「私は今持っているコートがあまりに気に入っているので、他の商品を新しく買う気にはなれないのですいません」と店員さんに言ったら笑われた。
そのとき店員さんにはワックスの使い方を丁寧に教えてもらった。ちなみにいままでシーズン前になるとクリーニングに出していたのだが、G1000の性能を考えると「クリーニングは絶対出さないでください。水洗いして干してください」とのことだった。そうなのか・・・

というわけで、コートにワックス(蜜蝋)をひたすら塗っていく。
白っぽくなる部分がワックスを塗ったところ。

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そうして、店員さんのアドバイスにしたがい、布きれをあてがって、上からアイロンをかけていく。
そうするとどんどん白い部分が消えていく。ロウが布に定着していく。

たしかにこれをコートの全体にかけていくのは、面倒な作業ではあった。
でもこの作業を通して、よりいっそう、このコートにたいする愛着を高めていくのも確かだ。
そりゃあ毎日着続けたら汚らしいし、同じようなコートをもう一着買えばいいのだろうけど、なかなかそういうわけにもいかず。それに、これとまったく同じモデルじゃないと、なかなか満足できないかもしれない。
なのでやはりこの冬も、こればっかり着ていると思う。

(さすがにスーツ用に別のコートを、ようやく昨年買った次第・・・)

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