KYOTGRAPHIE2026:2週目の彷徨記録
ひきつづき京都国際写真祭「KYOTOGRAPHIE」2026の記事を。開幕して2週間がたち、いよいよゴールデンウィークになるとさらに来場者も増えてくるであろう。
自分はメイン展示では北部の7番(ジュリエット・アニェル)と6番B(タンディウェ・ムリウ)だけを残して、あとは一通り回らせてもらった。ダダダッと各地の感想を。
まずはサポートで入らせてもらった京セラ美術館の森山大道回顧展。
SNSでは高評価なリアクションが多く見受けられ、圧倒的な物量の展示がインパクトを与えているようで、実際に現場に来てみて納得。
キュレーターの狙いとして、森山大道が雑誌をメインに作品を発表してきたことから、展示会場そのものが雑誌のような、イメージの洪水が表現されているかのよう。
過去に発表した写真集の多くは実際に来場者が手に取って閲覧できるようになっていて、この様子をスタッフとして見守っていて興味深かったのは、「やたらとお客が手に取りがちな写真集」があることだった。おそらくそれは装丁の影響なのだろうかと仮説を立てた。装丁は大事だ、と。
あとこの日は半日だけのボランティアに入っていて、そのうち1時間だけ受付のチケット確認係を担当していたのだが、ちょうどそのとき京セラ美術館の他の展覧会にお子様を連れて訪れていた友人のたじまりが、受付にいるタテーシを発見した。すごい偶然。
この京セラ美術館ではもう2つメイン展示が隣で行われている。
「SOUTH AFRICA IN FORCUS」ということで、まずアーネスト・コールについてはこれが日本ではじめて紹介される機会になっているということでとても意義深い展示であり、かなり見応えがあった。
来場者を迎える最初のゲートから、いろいろ突きつけてくる。
代表作が南アフリカで発禁処分となり、自身も国外に逃れ、その後は流浪の人として生きるも40代で亡くなり、長きにわたり行方不明とされていたフィルムのネガが近年になってスウェーデンの銀行の金庫で大量に発見されたとのこと。
当時のアパルトヘイト政策下における南アフリカの状況を、写真としては美しく収めつつ、社会状況の厳しい実態をストレートに告発している。
もうひとつの展示がピーター・ヒューゴ。現代に生きる南アフリカのフォトグラファーとして、本展示では大きい写真や小さい写真を並べ、生まれた子どもと、老いていく両親へのまなざしがコントラストのように構成されているのが印象的。
そして祇園四条の方面へ。
ygionでの福島あつし「灼熱の太陽の下で」。
農業の現場を生きる写真家による、まさに灼熱の写真。のっけから巨大なミミズの写真には圧倒されたり。
鴨川ぞいのロケーションゆえに、天気がよいと写真の見え方もより鮮烈な印象になる感じがした。
そのすぐ近く、ASPHODELでは柴田早理「Dotok Days」。
フランスのシャンパーニュ地方の葡萄園で滞在した時期に撮影されたセルフポートレイトということで、登場する人はすべて自分が演じて合成したということか。日本における農村の茶摘みだったりお祭りだったりを、フランスの農園を背景に展開していく作品群がちょっとユーモラスだったりする。
最上階の作品群も、空間との共鳴が素敵だった。
つづいて、京都文化博物館ではリンダー・スターリング「LINDER: GODDESS OF THE MIND」。
こちらも自身を撮影したポートレイトだったり、パンク/フェミニズムの視点から刺激的な写真が、日本初展示ということで紹介されている。

▲「She/She」という作品は、自身が活動していたパンクバンドの歌詞とともに「セルフ・モンタージュ」と称した手法によるポートレイトが並ぶ。これはカッコ良かった。
グラビア誌のポルノグラフィー写真に家電製品などを貼り付けたりする作品など、多くの作品で切り抜かれたイメージがコラージュされているのが特徴的だが、作者へのインタビュー映像のところでは「幼少期に、大事だったはずのドレスをハサミで切り刻んだことがある」というエピソードが語られたりしている。パンク魂がその頃からあったかのような。

▲展示のなかに、30分ほどのビデオ上映があって、ヘンテコな衣装をまとった4人のダンサーの奇怪な踊りが延々と流れていたのだが、意味が分からないなりにも妙にハマって最後まで観てしまった。
で、無料会場としての「KG+」のことも。
「KG+SELECT」では10人の写真家によるコンペティション展示となり、この中から来年のメイン展示に1名が選ばれるというもの。

▲今年の会場はくろちく万蔵ビル。1FではKG+オリジナルのグッズ販売や、KG+の膨大な展示会場のフライヤーたちがたくさん置かれていたりして、KG+独自のインフォメーション・センターの機能を果たしている。
今回観た10人の展示で自分が最も感じ入ったのは、ポーランドのピオトル・ズビエルスキ「ソリッド・メイズ」。
なんとも捉えどころのない世界観だけれど、イメージとしては自分はこういうのがすごく好きなんだよなぁと再認識させてくれた。
ただ今回のアワード受賞者はすでに決定しており、インドのスリダー・バラシュブラマニヤム「マナルスザル(砂の旅)」が来年度のKGでメイン展示を行うことに。
あと先日訪れたKG+でいえば、三条通りの同時代ギャラリーでのSAMURAI FOTOという、写真を通した国際交流を志向する団体による合同展をふらっとのぞいたり。
この2名の作品がとくにグッときた。

▲Ingo Bork「Fog and Clouds along the California Coast」
KG+のこうした企画展はたまたま歩いているエリアに出くわしたら入ってみる感じが楽しくて、でもこの時期はできるだけボランティアをしていたいから、そこまでウロウロする時間があまりないというジレンマがある。
で、今回の記事の締めくくりは、この記事を書いている日にサポートスタッフとして入らせてもらった、嶋臺ギャラリーのアントン・コービン展のことを少し。
改めてスタッフ側として会場にたたずみ、お客さんたちの様子を眺められたのがよかった。
たとえば、友人と連れだって訪れるお客さんが、自分の好きなセレブの写真の横で同じポーズをして記念撮影をしていたり。「そうか、有名人のポートレートが主題なだけに、こういう展示だとそういう現象が起こるのか」と気づかされたり。
ちなみにこの会場で唯一BGMが流れている部屋があって、会場担当リーダーさんの説明によると、アントン・コービン自身の手によるプレイリストで選曲されていて、なかには展示されているミュージシャンのものがちらほらと流れていたりする。
あと京都の光明院で収録したというコービンへのインタビュー動画は、いまのところウェブなどでの一般公開は予定されていないとのことで、この会期中の現地でしか観られないのであった。

▲いろーんな有名人の写真があって見どころが多いのだが、とりわけ興味深かったのが、この晩年のウイリアム・バロウズ。(とはいえ、私はちゃんと彼の作品を読んだことないんだけど)右手の脇にはたくさんの銃痕があり、そして左腕のヒジの窓枠のところには、なぜかファニーな顔のイラストの落書きみたいなのがあって、あえてこの場所で撮影を行ったということも含めて、その人物独特のキャラクター性をさらに味わい深くしている。
というわけで、ぜひ連休中は京都へ、KGにお越し下さい(って、至ってフツーな結論ですが、この時期はどうしたって営業宣伝モードになってしまうわけです。お客さんあってこその写真祭なので!)






































































































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