Tシャツやトートバッグに自分の好きなデザインをお手製のシルクスクリーン印刷でプリントするためのガイド的なZINEを作ってみました。
A6版 24ページ 500円
●お取り扱い店
Lilmag(HP)
FOLK old book store(HP)
『SOLO JOURNEY BY THREE』(2014)
2014年の夏に行ったオランダ・ドイツの旅で撮影したモノクロ写真をあつめた冊子。無線綴じ製本、部数100冊のみ。
B6版 64ページ 900円
●お問い合わせは作者・タテイシナオフミ本人へ。
メールアドレス:
prog_howe(at)hotmail.com
●お取り扱い店
FOLK old book store(HP)
Do It Yourselfの考え方や態度に感化された著者が、ふとしたきっかけでZineづくりをサポートするポートランドのNPOの存在を知り、現地に行って実際に見学し、そしてDIY精神あふれるアメリカ西海岸の空気を味わおうとして行った旅の記録をまとめた初のZine。
定価(税抜き)800円※第2版より。送料別。
著者から直接購入を希望する場合のお問い合わせは
prog_howe(at)hotmail.com まで。
「『あたりまえらしさ』の中にひそむファニーさやスリリングな様相にむけて」というキャッチコピーを添えた号。「広告におけるサブリミナル効果についての一考察」では「FIRE」の缶コーヒーのロゴマークに隠されたメッセージを読み解く。「パソコン嫌い」では「ワードの操作方法を教えるウニ」の図が人気を博す。男が独りでパフェを食べるためのストラテジーを友人ウエビャーシに語ってもらった「パフェ論」も掲載。そしてイラクへの武力行使反対デモに参加したときの天邪鬼な記録「from NO WAR to NO WOR」もあり、この頃から政治的内容も視野に入れた「DIYとしてのフリペ作り」を意識し始める。
13号(2003年・春)
特集「THANK YOU FOOTBALL 2002.」、この言葉がすべてともいえる号。2002年ワールドカップにおいて私がしでかしたこと、考えたこと、日本のサッカーについての複雑な想い、それらすべてを記録。とはいえ冒頭からサッカー云々よりも「ワールドカップとは世界のサポーターの『ネタの披露大会』だ」と言い切って「お面の作り方」の解説から始まるという、相変わらずな文化系的スタンスに満ちた内容。こうしてこの号においてはひたすらサッカーについてのことだけを書きつけてある。なお、この号は当時の日本代表を指揮していたトルシエ監督の通訳だった、かのフローラン・ダバディ氏に@niftyのイベント会場で渡すことができたという想い出もある。
F1マシンのデザイナー、エイドリアン・ニューウェイの自伝『HOW TO BUILD A CAR』(三栄、2020年)では、空気力学のプロとして彼が手がけたマシンの設計において、そのときどきに考えだしたことやアイデア創出のプロセスが、工学の知識がない読者にも分かりやすく解説されていく。アイルトン・セナが事故死したときのマシンも彼の手によるものだったが、あの出来事を境に安全性との共存を図る時代的要請とともに様々なルール改定が行われ、その「網の目」をいかにかいくぐり、速さを失わないように知恵を絞るかという、そうした試行錯誤のせめぎ合いが折々のエピソードとともに語られており、ある意味ではビジネス書のような読み方ができる労作である。
たとえば90年代最初のツアーにおける「ZOO-TV」というコンセプトは、おびただしいモニターに無数のコトバやヴィジュアルが洪水のように観客を包み、錯乱ぎみの「ロックスター・ボノ」が様々な「仮装」をまとい、ステージ上からピザを注文して客席にふるまったり、ホワイトハウスに電話をかけてジョージ・ブッシュを呼びだそうとする。そしてライヴパフォーマンスと連動したヴィジュアル・アートの試みとして「架空のテレビ局」が共に動き、映像の洪水を垂れ流し、現実世界でリアルに進行中の湾岸戦争を強く意識した映像をもフォローしつつ・・・特にライヴのオープニングにおける、当時のブッシュ大統領の宣戦布告スピーチ映像をサンプリングして「We Will Rock You」とラップさせつつ「Zoo Station」のイントロに至る流れなど・・・「いったいあんたたちは何様なんだよ」というツッコミこそ、この実験的なツアーの神髄を言い当てていたかもしれない。つまり今から振り返ると、これはインターネット時代の到来を音楽ライヴとヴィジュアル・アートの形で表現した先鋭的なものだったと言えるのだ。誰しもが「誰でもないもの」になりえる、「何様」も「誰様」もない匿名/虚構のサイバー空間にただよい出る自我と、「どこでもだれでもたどり着ける混沌とした空間世界=近い将来に訪れるマルチメディア環境が解き放つ明暗」や「グローバリゼーション時代の到来における困惑や混乱」を表現しようとしていたU2。いやはや、私はついぞ映像でしか体験できていないが、あらためてあのツアーは音楽のみならず情報メディア史においても特筆すべきプロジェクトだったのである。
こうして無事に2000年代を迎え、U2は「原点回帰」をうかがわせる『All That You Can't Leave Behind』を発表して、かつての素朴で純粋なU2が戻ってきたと全世界が確認し、すべては丸く収まり、そしてもはやそれ以後はこの地上で何をやっても無敵の存在となった。以前からもボノはロックスターの立場を利用して「世界一顔の売れている慈善活動家」となっていたが、この頃からさらに活動に注力してアフリカ諸国の債務帳消し運動などに邁進していく。したり顔の人々からは「偽善だ」という批判の嵐を浴びるものの、あの90年代の「先に狂う戦略」を思い起こせば、そんな逆風は彼にとってまったく無意味なのかもしれない。音楽がなしえる、人種や国境を越えた共感的パワーに支えられ、あらゆる壁を打ち壊すべく1ミリでも何かを動かそうと「熱量」を絶やさずに、偽善でも虚栄でもひたすらその信念を押し通すこと。それは当代随一の“クソ真面目ロック歌手”ボノだからこそ果たせる「やったもん勝ち」の闘争姿勢なのである。そうしてU2は今年でデビュー40周年。いつまでも変わらない4人、そして未だに仲良しな4人のおっさんたち。数十年のキャリアのなかでロックスターが陥りやすい変なスキャンダルもまったくなく「世界一、野暮ったいバンド」と自称して笑いを誘いさえする、それがU2である。
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