コカコーラ社のCoke ONアプリを作った人たちが読んだら手を叩いて高笑いするだろうから心底腹立たしいが、悔しまぎれにブログのネタにさせてもらう
これまでも私は、外出先で飲み物を買いたい場合は極力スーパーやドラッグストアで買うようにしており、そして職場へは水筒に白湯を入れて持参し、できるだけ自販機で飲み物を買わないようにして無駄な出費を抑えるように努めてきた。
そんな慎ましやかな(=ケチくさい)私のスタンスが、最近になってコカコーラ社のCoke ON(コーク・オン)のアプリをスマホに入れたことによって崩されつつある。
だいぶ以前からこのアプリが存在していることは街で見かける自販機で知っていて、小銭がなくても電子決済で飲み物が購入できるんだろうなぁ、という程度の認識でいた。
そんな私だが、遅ればせながら最近はいろんなお店の専用アプリをスマホに入れて会員登録し、少しでもお得に買い物をしようという流れに乗っかるようになり、このコーク・オンのアプリにしても、今年の春頃に「これから暑い時期になれば、外出先でやむなく自販機でお茶やお水を買う機会が多くなるだろうし」という軽い気持ちでアプリをダウンロードしてみたのだが・・・さすがに天下のコカコーラ社と言わざるを得ない、まさにマーケティング学の英知を極めた凶悪的なまでの戦略に、すっかり丸め込まれてしまったのである。
今回も長文になるこのブログ記事を律儀に最後まで読もうとしてくださる方々のなかで、このコーク・オンのアプリにはまったく興味関心のない方々にまず説明しておきたいことがある。普通にお金を入れて自販機から購入する場合と違って、このアプリを使って購入したらどういうメリットがあるのかという点であり、それは「スタンプ」にある。アプリで購入するとスタンプがもらえて、これが15個たまると好きな飲み物が1本無料でもらえるのだ。昔からいろんな業種のリアルなお店で行われている「お得意さまスタンプカード方式」を、コカコーラ社はスマホ時代に商機を見出し自販機での買い物にまで適用して、ユーザーを囲い込もうという所業である。
そしてこのスタンプを集めるうえでは「条件達成でスタンプが2つもらえる!」というようなお約束通りの「キャンペーン」がいつも行われていて、そしてスマホの万歩計機能と連動させて、目標の歩数を一週間で歩ききったらスタンプがもらえたりする。もともと普段からせっせと歩いておこうと意識的にがんばっている自分としてはもっと早くからこのアプリを導入しておけばよかったとすら思ってしまう。
ちなみにこのコカコーラ社のスマホ対応自販機でアプリから飲み物を買うときは、「スマホを悪用したハッキング行為によって自販機から飲み物をくすねているような疑似体験」を思わせるので、なんだかこの行為自体が楽しく思えてもくる。
そうこうしているうちに、ある日気がつけば自分でも予想以上に早いタイミングでスタンプが15個たまり、アプリには「交換チケット」なるものが表示された。あらためて自販機にスマホを接続させて、恐る恐るそのチケットを利用してみると、選んだ商品がゴトンと受け取り口に落ちてきた。冷静に考えると結果的にはそこまでお得でもないのだが、「自販機からタダで飲み物をもらう」というこのサイクルを一度体験すると「よし、またスタンプをためよう」という気持ちに傾いてしまったのである。
で、ここからこのアプリのネタはさらに展開していくのですよ。
これまでは「前フリ」の説明なのですよ。
恐ろしいマーケターたちの謀略は、ここからが本番なのですよ。
先に述べた「ウォーキングの歩数によってスタンプがもらえる」というのはアプリのなかの「チャレンジ」というカテゴリーによるもので、他にもさまざまな「チャレンジ」が用意されている。
で、そのなかで「チーム」という表示があったので何気なく開いてみた。
するとそこには「コーク・オンを利用するお友達、仲間同士でチームを作って、一緒に協力しあったり、競い合ったりしてチャレンジ達成を目指しましょう」とある。
複数人で協力すればスタンプがさらに集まりやすくなるメリットに突き動かされたのと、「チームを作る」という行為自体に面白味があったので、すかさず自分でチームを作ってみた。チーム名はこのブログのタイトルでもある「HOWE_GTR」にした。
しかし、ここからが問題だった。
身の回りに、このアプリを使っているという人がなかなか見つからないのである。
チームを創設した直後にたまたま次姉に会う機会があったので、コーク・オンのことを尋ねてみたら「何それ?」という素っ気ない反応で、その後も会う人会う人にその話題をふってみるも、往々にして似たような反応をされてしまうのであった。コカコーラ社の公式サイトでは「6500万ダウンロード突破」と景気良く書いてあって、それは日本の人口の半分近い数字だが、私の体感ではまったく信じがたいのである。
そして話題をふってしまった以上、ここで私は自らが実践するコーク・オンアプリの利用やスタンプ収集についてクドクドと説明をしてしまうのである。つまりこれは、我々ユーザーがコカコーラ社の営業活動に率先して荷担していることに等しい。私はそうやってこの数ヶ月、周りの人たちにコーク・オンアプリの宣伝活動を行ってしまっているのであった。
先日もたまたま職場で後輩にドリンクをおごるという流れになったとき、哀れな後輩は私から嬉々としてコーク・オンについての営業じみたトークを聞かされ、当然のようにコカコーラの自販機の前に連れて行かれて「この中から飲みたいものを選んでほしい」と頼まれるハメになり、しまいには「アプリを登録して、タテーシが作ったチームに入らないか」と勧誘されるのである。もはやこれは「アプリ・ハラスメント」と糾弾されても仕方のない事態である。そのうえ私のやっていることは、なんだかマルチ商法の勧誘みたいにも思えてくる。実際、このアプリではお友達が登録すれば紹介した自分にもメリットとなってスタンプがたくさん手に入る仕組みになっている。非道だ。
ちなみに、終始その後輩はアプリにはまったく興味がわかない様子であった。そういうものである。
しかしそもそも、この歳になって「オレのチームに入らないか」と人を誘うシチュエーションっていうのも、なんなんだろうなとは思う。
このような状況において、「あの人ならば」と思った人物がいて、それが同僚のタスク氏である。思えば以前の記事(こちら)でも紹介したように、スマホに疎い私にスターバックスでモバイルオーダーの利用方法を目の前で実演してくれた人でもあり、そんな彼ならばきっとコーク・オンのアプリだって使っているんじゃないだろうかと踏んで、探りを入れてみたら案の定ビンゴだった。ここぞとばかりに私は自分のチームを立ち上げたことを説明し、メンバーに加わってもらえることになった。(『誰もみんなアプリを使っていない』とタスク氏にボヤいたら、『スタバのモバイルオーダー知らなかった人がなんか言ってる・・・』と返された)
ちなみにチームは最大8人まで組めることになるのだが、ひとまずタスク氏と私の2名体制で「チーム・チャレンジ」に臨むこととなった。
さて「チーム・チャレンジ」は主に2つの種目があり、ひとつは「100本チャレンジ」である。チームで購入した合計本数が100本になるたびにスタンプがもらえるとのことで、これは2人で達成するにはだいぶ先のことになるだろう。どんなけ買うねん。
そしてもうひとつが「BINGOチャレンジ」である。
これは毎月ごとにビンゴカードが提示されて、マスごとにコカコーラ社のさまざまな商品が並んでいる。つまりチームの誰かがこの中の商品を自販機で買えばマスが埋まっていき、ビンゴの要領でタテ、ヨコ、ナナメをそろえていく。その成果に応じてスタンプが手に入るという仕組みである。
ここまで読んでくれた方ならすぐに察しがつくとおり、これによって「普段だったら買わないような商品まで選んでしまう」という、マーケティング戦略における類を見ない巧妙な策略により、カモの我々は踊らされていることになる。
はっきり言わせてもらう。これ考えた連中、天才だし、悪魔だ。
前もって「お互いに無理はしないように」と言い合ってはいても、この「仲間の購買行動がスマホで分かってしまう」という状況が、今までに味わったことのない集団力学における機微をもたらすのである。数日後にビンゴカードをみたら、チームメイトが果敢にもいろいろな飲料を購入していたことが手元のスマホで確認できてしまい、その意欲的な購買行動に賛辞を送ると、タスク氏からは「代わりに缶コーヒーと『いろはす』飲んでおいてください!」とメッセージが返ってきて、「よし分かった! それなら自分は缶コーヒーを買うとするか!」と前のめりになってしまう・・・いや、水飲めよ! また太るぞ! と、本来なら見舞われる必要がなかったはずの葛藤のなかで自販機に舞い戻ってしまうのである。これが鬼畜マーケティングといわずになんといおう。
さらにですよ。
チーム名が表示されている近くに王冠のマークがついていて、そこをクリックすると「今月のチーム内でもっとも購入本数が多い人」「今月もっともたくさんの種類の商品を買った人」「今月もっともいろんな場所の自販機で商品を買った人」という部門に分かれた「マンスリーランキング」が表示されてチーム内での競争が盛大に煽られ、各部門のトップにはスタンプがボーナスでもらえる可能性が出てくるのである。
私なんかは「うむ、自販機バリエーション部門でトップを狙おう」と思ってしまうと、街を歩いていてもムダにコカコーラ社の自販機の存在を意識してしまうことになり、完全に会社の思うツボなのである。
さらには、この暑い夏の時期、実際に炎天下を歩かなければならないような状況下で、「み、水を買おう・・・」と街中で自販機を探しても、そこにコカコーラ社ではない別会社の自販機しかなかったら「次を探そう・・・」となってしまうわけである。いや、すぐに買えよ、水を! と、ヘタをすると生命の危機にかかわりかねない事態に自らを追い込んでしまっている(そういうこともあり、最近はライバル社も同様のアプリ制度を導入したので、そっちのアプリも念のため入れてしまうという事態に陥っている)。
こうして個人的にこの夏でもっともホットな話題といっていい(他にないんかい)コーク・オンアプリをめぐる「チーム・HOWE_GTR」での闘いの日々を今回このブログで書きつづったわけだが、この記事を準備しているあいだも一向にチームメンバーが増える様子のないまま、我々2人は黙々と自販機に向き合っている次第である。
もし万が一、何らかの巡り合わせがきっかけで、狡猾なコカコーラ社のマーケティング担当者がこの記事を見つけて読んで大笑いした場合はだな・・・ええっと・・・そうですね、連絡ください、取材させてください(笑)











































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